樊振東の用具の変遷 2016→2026|10年動かなかったフォア面に起きたこと

樊振東(ファン・ジェンドン)選手の用具について、海外の卓球サイト2件はいずれもフォア面が狂飆3(キョウヒョウ3)のブルースポンジ、バック面がディグニクス09Cと紹介しています。

ただし、そのうちの1件は同じ表の中で「最近ドイツでの試合中に、両面ともディグニクス09Cに変えた」とも書いています。しかも変わったとされるフォア面は、2016年から10年間ひとつも動いていない場所でした。

用具は思っているよりよく変わります。この記事では変遷を時系列で追い、いま何が起きているのかを卓球用品店として整理します。

樊振東選手の用具の変遷(2016年〜)

Table Tennis Thailand がまとめている変遷表です。

時期 ラケット フォア面 バック面
2016〜2019年 ビスカリア(特注グリップ) 狂飆3 ブルースポンジ
(パーソナル版)
テナジー05
(パーソナル版)
2019〜2021年 スティガ Infinity VPS V ハンドル 狂飆3 ブルースポンジ
(パーソナル版)
テナジー05
(パーソナル版)
2021〜2022年 ゴールデン ビスカリア 狂飆3 ブルースポンジ
(パーソナル版)
ディグニクス09C
(パーソナル版)
2022年〜現在 樊振東ALC ゴールド 狂飆3 ブルースポンジ
(パーソナル版)
ディグニクス09C
(パーソナル版)

表を縦に見ると、はっきりした特徴があります。ラケットは3回替わり、バック面もテナジー05からディグニクス09Cへ替わっているのに、フォア面の狂飆3 ブルースポンジだけが10年間まったく動いていません。

Table Tennis Thailand も、この用具遍歴表の締めくくりでこう書いています。「彼のキャリアを通じて変わらないのは、フォア面の狂飆3 パーソナル ブルースポンジである。フォア面で中国の粘着ラバーから離れたことは一度もない」と。

なお、ラケットが2022年に樊振東ALCへ移ったのは、同選手が2021年11月にバタフライと契約し、2022年にシグネチャーモデルが発売されたためです。

その動かなかったフォア面に、2025年12月の観測

Table Tennis Thailand は、記事冒頭の「現在の構成」表のフォア面の欄そのものに、こう書き添えています。「狂飆3 プレイヤーエディション ブルースポンジ(42度・2.1mm)。最近、ドイツでプレーしている間に両面ともバタフライ ディグニクス09Cに変更」と。

さらに記事の別の箇所には、より詳しい注記があります。要約すると——2025年12月のドイツ・ブンデスリーガの試合中、樊振東選手がラバーの左右を入れ替えているのが観測された。フォアにディグニクス09C、バックに狂飆3ナショナル ブルースポンジ。そしてその後、両面ともディグニクス09Cにした。これが2026年の恒久的な構成になるかは、まだ分からない——という内容です。

つまり同じ記事の中に、「フォア狂飆3/バック09C」という構成と、「両面09Cに変えた」という記述が併記されている状態です。当店で片方を選んで断定することはしません。

10年間ひとつも動かなかった場所が動いた、という話なので、事実だとすれば相当に大きな変化です。ただし現時点では第三者による観測であり、本人やメーカーの発表ではありません。引用元自身が「恒久的な構成になるかは未確定」と書いているとおり、当店としてもどちらが現在の構成かを断定はできません。

もう一点、日付にご注意ください。当店が確認したもう一つの資料(247tabletennis)はページに更新日の記載がなく、「まだ更新作業中」と書かれています。つまり「フォア狂飆3/バック09C」という記載がいつ時点のものかは分かりません。入れ替え前の情報である可能性もあります。

メーカー公式は2022年7月で止まっている

バタフライ公式サイトの樊振東選手のページには「使用用具 2022年7月19日現在」とあり、記載されているのは樊振東ALCとディグニクス09Cの2点だけです。どちらの面かの指定はなく、ラバーは1枚しか載っていません。

公式が不親切なのではありません。トップ選手の用具は公式の更新を待たずに動く、というだけのことです。海外選手の用具を調べるときは、公式サイトであっても「いつ時点の情報か」を必ず確かめてください。この記事で時期を細かく書いているのは、そのためです。

用具店として、この2枚を説明します

狂飆3 ブルースポンジ(紅双喜/DHS)

狂飆3(キョウヒョウ3)には流通の系統がいくつかあります。Table Tennis Thailand が整理している表がこちらです。

系統 スポンジ 同記事の説明
市販版 オレンジ/ブルー 広く流通し手に入れやすい。品質・硬度がシートごとに異なることがある
省チーム版・Neo省チーム版 オレンジ/ブルー 広く流通、品質良好。工場でブースト済みで市販版より速い
国家チーム版(国狂) オレンジ/ブルー 品質管理がより良く、粘着が安定している
パーソナル版 ブルーのみ 樊振東選手のもの。最高グレードで手選別

ここは誤解されやすいところですが、表のとおりブルースポンジは市販版にも設定があります。「青=代表専用」ではありません。パーソナル版が青のみ、というだけです。

そして「国狂」と呼ばれる国家チーム版は、日本でも買えます。ニッタクが国内で取り扱うキョウヒョウ3国狂ブルーがそれで、2026年全日本選手権のランキング選手にも使用者がいます(木造勇人選手・芝田沙季選手・橋本帆乃香選手の3名)。一般に手に入らないのは、あくまで選手個人に支給されるパーソナル版の個体です。

ディグニクス09C(バタフライ)

バタフライの公式分類は「粘着性ハイテンション裏ラバー」。スポンジ硬度44度、厚さは2.1mmと1.9mmです。粘着性の表面とスプリングスポンジXを組み合わせ、中国の粘着ラバーとヨーロッパのテンションラバーの中間を狙った一枚と言えます。

変遷表のとおり、樊振東選手はバック面を2021〜2022年にテナジー05からこのディグニクス09Cへ替えています。日本のトップ選手にも定着していて、2026年全日本選手権のランキング選手では14人が使用していました(2026年8月25日調べ。使用用具一覧に基づく15人から、その後メーカー公式サイトで用具変更が確認できた1人を除いた数です)。

フォアとバックを入れ替えると、何が変わるのか

フォアに粘着、バックにテンション寄りというのは、フォアで回転量を稼ぎ、バックで速さと安定を取る設計です。これを逆にすると、フォアで弾みと速さを取り、バックで回転と変化を作る形になります。

どちらが優れているという話ではありません。相手の球質や自分の戦術が変われば、点の取り方の設計も変わります。トップ選手がシーズン中に構成を試すのは、そういうことだと考えるのが自然です。

日本で買えるもの

なお日本の選手では、ディグニクス09Cをフォアに、ザイア03をバックに組み合わせる形が広がっています(松島輝空・篠塚大登・宇田幸矢・三部航平の各選手ほか)。ザイア03は非粘着のハイテンション裏ラバーで、09Cとは別系統。置き換えではなく、組み合わせて使われているのが実際のところです。

過去の記事

当店では2026年5月にも樊振東選手の用具を紹介しています。そちらは当時の構成(フォア=狂飆3ナショナル ブルースポンジ/バック=ディグニクス09C)をまとめたもので、ラケットとラバーそれぞれの特徴を詳しく解説しています。

樊振東の使用用具まとめ|ラケット・ラバーの特徴を卓球専門店が解説(2026年5月時点)

本記事は、そこに2016年からの変遷と、2025年12月以降の動きを加えたものです。用具は変わるものなので、当店では時期を明記して記録を残していきます。

出典

  • バタフライ公式サイト 樊振東選手ページ(使用用具 2022年7月19日現在)
    butterfly.co.jp(樊振東選手ページ)
  • Table Tennis Thailand「Fan Zhendong Equipment Setup」(2025年5月19日公開、その後更新。記事タイトルは「2026」で、本文に「2022年からブンデスリーガを含む2026年初頭までの大会を追跡した」との記載があります)
    tabletennisthailand.com(Fan Zhendong Equipment Setup)
  • 247tabletennis「Male Players' Equipment List」(当店確認日 2026年8月26日。ページに更新日の記載はありません)
    247tabletennis(Male Players’ Equipment List)
  • ディグニクス09C・ザイア03の仕様=バタフライ公式製品ページ/日本選手の使用用具=2026年全日本選手権ランカー使用用具一覧

※この記事に含まれる海外選手の用具情報は、上記の第三者による観測・整理を引用したものであり、選手本人やメーカーの公式発表ではありません。当店が独自に断定したものではなく、資料に未確定と書かれている点はそのまま未確定として記載しています。

更新履歴

  • 2026年8月26日 公開。2016年からの変遷表と、2025年12月の左右入れ替えの観測を追加
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